週2日だけの古民家カフェ「カフェダイニングterasu」
気がつけば2024年も残りわずかとなりましたが、皆さんにとって今年はどんな1年でしたか?
私にとって今年は、山陰各地で素敵なお店にたくさん出会えた1年でした。
今回私がご紹介するのも、山陰を巡る中で見つけた、とっておきのお店です。
訪れたのは、2022年5月にオープンした松江市八雲台にある「カフェダイニングterasu」。
渡野千恵さんと、ご主人の浩幸さんが営む古民家風カフェです。
目の前に来るまでお店だとわからないほど住宅街に溶け込んでいて、 まさに隠れ家のようなお店です。
なんだかなつかしいレトロ感のある店内
玄関を開けて真っ先に目に留まったのは、年代物のレトロなミシン台。
私が子供の頃、家にあったミシンもまさにこんなデザインでした。懐かしいです。
写真の壁掛け時計と照明スタンドは、千恵さんが制作したものです。
照明スタンドは、なんと元は農具だったそう!稲作で使われる「田枠」といわれる農具を照明にリメイクするとは、千恵さんの想像力に脱帽です!
こちらがカフェスペース。二間続きの和室の間仕切りをなくし、広々としています。
使い込まれた数々の調度品は、愛着ある空間やレトロ感を演出するのに一役買ってくれている気がします。
棚には森山窯やかつら工房、陶風舎、御門屋窯など地元の焼き物をはじめ、千恵さんが趣味で集めた焼き物がズラリと並びます。
12月のランチのお品書きはこちら。
通常、terasuのランチは定期的に内容が変わる「おまかせプレートランチ」で、月によっては選べる「プレートランチ」もあります。
12月はクリスマス月ということで、メインのお料理やスイーツが普段より品数が増えた「ごちそうプレート」という特別なランチでした。
特別感たっぷりの「ごちそうプレート」
こちらが12月の「ごちそうプレート」。
野菜たっぷりのガトーインビジブルやローストビーフ、贅沢にフィレ肉をベーコンで巻いたお料理など、まさにごちそう尽くしです。
食欲をそそる彩り豊かなお野菜は、オリジナルのバーニャカウダと共に。
ソースが美味しいと箸も止まらない!嬉しいことにこのソース、テイクアウト販売もしています。もちろん買って帰りました♪
かぼちゃの濃厚さ、伝わりますか?
スプーンで持ち上げるとこんなにもったりしています。
こちらは「じゃがいも蒸しまんじゅう」。
半分に割ると、中に鯛のすり身と百合根、そして銀杏が入っていました。
具材は日によって、海老の時もあれば穴子だったり色々です。
銀杏は浩幸さんと近くの山へ拾いに行ったものだそう。銀杏を調理するまでには、かなり手間がかかるといいますが、まさに手間を惜しまず作られた一品です。
ランチを堪能した後は「おまかせスイーツ盛り合わせ」。食後のスイーツとは思えない品数です。もちろん、これで1人分ですよ。
スイーツで特に注目してほしいのが、しっとりふわふわのシフォンケーキ。試行錯誤しながら千恵さんが何十年も焼き続けてきた自信作です。まとめて焼くのではなく、1ホールずつ丁寧に焼き上げるというこだわりようです。
飲み物は、レモンバームとレモングラスのハーブティーをいただきました。
乾燥ハーブではなく、お庭で育てた摘み立てのハーブを使っているので、香りも味もフレッシュ!
夏はお庭に実った桑の実を収穫して作った桑の実ソーダなど、季節ごとに楽しめる飲み物があるのもterasuの魅力です。
珈琲は浩幸さんが担当しています。
深煎りと相性の良いコーノ式(点滴抽出法)で淹れたこだわりの珈琲は、芳醇な香りとコクが愉しめ、珈琲好きにはたまらない1杯です。
通常時の「おまかせプレートランチ」はこちら
今回は「ごちそうプレート」をご紹介しましたが、通常時の「おまかせプレートランチ」はこちらです。
普段のランチもご覧のとおり、とても豪華なんですよ。
内容は定期的に変わりますので、詳しくはお店のInstagramをチェックしてみてくださいね。
terasu店主の千恵さんにお話を伺いました
お料理とお店のしつらえは千恵さんが担当しています。
物心ついたころから料理を作ることに興味があった千恵さん。これはお祖母さまの影響もあるそうです。
子供の頃、お祖母さんが山で拾ってきた栗を丁寧に剥いて、栗餡のおはぎを作ってよく私たちに食べさせてくれた昔の思い出を、懐かしむように話してくださいました。
自分も料理を作ってみようと、見よう見まねでアップルパイ作りに挑戦したのが千恵さんが小学3年生の頃。
次第に料理を作る楽しさに引き込まれていき、6年生になると料理本を参考におせち料理を作れるまでになったそうです。
短大時代は在学中に栄養士の資格を取得。プロの料理人の調理を間近で見て学びたいと、土井勝料理学校で助手のアルバイトもしていたそうです。
卒業後は地元に戻って公民館や文化教室で料理教室を開き、結婚後も料理家として活動を続けていました。
そんな料理の道一筋だった千恵さんでしたが、お店を営むまではブランクがあったそうです。
理由は、近所に住んでいるおばさまが高齢で、身の回りのお世話が必要になり、千恵さんがおばさまの家に通って介護に専念していたからでした。
実は、そのおばさまの家が現在のterasuです。
生前おばさまから「この家を良かったら使ってほしい」と託され、数年前におばさまを見送り、浩幸さんの定年退職を機に、ここでお店を開くことを決めたのだそう。
しかし、お店をするとなると、開業にはさまざまな知識やノウハウが必要になります。
料理を教える経験はあっても、お店は初めてのこと。素人の千恵さんにとっては戸惑う事ばかりでした。
そんな時、偶然出会ったのがterasuのスタッフのゆかりさんです。
彼女は当時、他の飲食店のマネージャーを務めていましたが、千恵さんがゆかりさんをスカウトする形でterasuのスタッフに。
飲食業の経験を活かし、お店のイベントやPOPの作成、Instagramの開設や接客まで幅広くサポートしてくれたおかげで、お店の口コミも広がり、リピーターも次第に増え、今では予約が取れない程の人気店に。
「今のterasuがあるのは、ゆかりさんのおかげです。」
そう話す千恵さんにとってゆかりさんは、まさに救世主とも言える頼もしい存在です。
「terasu」の店名に込めた思い
店名の「terasu」は、「照らす」をアルファベット表記したものです。玄関の入り口に掲げられたメッセージボードに、千恵さんの思いが寄せられていました。
「自分のささやかな手料理としつらえで、お店を訪れた人の大切な1日を優しく照らすお手伝いができればこの上ない幸せです。そんな願いを込めてTerasuと名付けました。」
千恵さんはこう話してくれました。
旧暦の雛祭り、terasuは「小さな博物館」に。
terasuでは旧暦の雛祭りを前に、約100年も昔のお雛様や、木目込み人形や押絵の雛人形、陶器のお雛様や千恵さんのお母様が古布で作ったお雛様など、多種多様なお雛様がお店いっぱいに飾られます。
その数はなんと40~50点にもなるそう!
実は雛祭りの時期にもterasuを訪れたことがある私。
その時に撮った写真が少しだけ残っていたので、最後にこちらもご紹介しますね。
こちらは約100年前に製作されたお雛様。浩幸さんのお母さまから受け継いだ雛人形です。
素人目にもわかるほど保存状態が良く、長い間大切にされていたのを感じます。
こちらは「天神さん」。
鳥取に住む私は知らなかったのですが、松江では旧暦のお雛祭りに、女の子は雛人形を飾り、男の子は天神人形を飾るそう。
天神さん(天神様)といえば「学問の神様」として知られる菅原道真公のこと。
道真の生誕地については諸説ありますが、島根県宍道町菅原で生まれたとされ、天神様のように賢く育つように願いを込めて、男の子が生まれた時に、天神さんの人形を贈る習わしがあります。
ちなみに5月の端午節句(5月5日)は、鯉のぼりを立てたり、鎧(よろい)・兜(かぶと)・五月人形などを飾り、男の子の成長を祝う行事がありますよね?
ということは、男の子には2つの節句のお祝いがあるということですね。なんと羨ましい!
お雛様は代々受け継がれたものからギャラリーで購入したもの、千恵さんやお母様のハンドメイドなど多数展示されます。
いかがでしたか?ランチの営業日は木曜と土曜の週に2日だけですが、お惣菜やスイーツのテイクアウト販売もしているので、詳しくはお店のInstagramをご確認くださいね。
次回の「ごちそうプレート」は旧暦の雛祭りの前に開催されますのでそちらも是非お楽しみに。
- 住所
- 住所
- 島根県松江市八雲台2丁目16-17
- 営業時間
- 営業時間
- 11:00~14:00
- 定休日
- 定休日
- 月、火、水、金、日曜日(木・土曜日のみの営業)
- 電話番号
- 電話番号
- 0852-25-7558
- 公式サイト
- 公式サイト
- https://www.instagram.com/cafe.terasu.w/
- 駐車場
- 駐車場
- あり(台数が少ないので乗り合わせで行かれることをオススメします)