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ココビトの綴り 山陰まんなかアンバサダーが綴る 届けたいココへの思い San`in Mannaka Tourism Bureau presents [COCOBITO no TSUDURI]
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2025.06.24

アシェット・デセールでスペシャルな時間を。「confectionery theorem」

松江市の人気スイーツショップ「HAPPY SWEETS FACTORY(ハッピースイーツファクトリー)」の一角に、山陰ではまだ数少ないアシェット・デセールの専門店「confectionery theorem(コンフェクショナリー・セオレム)」が2025年6月25日にオープンします。

アシェット・デセールとは、直訳すると「皿盛りのデザート」のこと。

パティシエが目の前で仕上げた出来たてのデザートを味わえる、テイクアウトのスイーツとはまた違った魅力があります。

先日プレオープンに行ってまいりましたので、早速ご紹介しますね。

ぜひ最後までお付き合いください。


訪れたのは松江市上乃木にある「MONOTONE(モノトーン)」。

ここは美容室やセレクトショップ、カフェやテイクアウトのお店が集まる複合施設で、この02 BLACK棟の2階に、今回オープンするお店があります。

MONOTONEのエリアマップ


こちらがHAPPY SWEETS FACTORY

店主兼パティシエを務める吉岡徹さんと、奥様の菜緒美さんが営むスイーツショップです。

そしてその奥にあるのが「confectionery theorem(コンフェクショナリー セオレム)」。

吉岡さんが新たにオープンするアシェット・デセール専門店です。

スイーツを仕上げていく様子を目の前で楽しめるよう、席はカウンターのみ用意されています。


この日のデセールメニュー

デセールメニューは1種類。

〇メロンのパルフェ~様々な食材と共に~

〇小菓子 4種

〇ドリンク

こちらは6月25日から7月9日までのメニューですが、フルーツや食材の仕入れにより変わることがありますのでご了承くださいね。

パルフェのメインフルーツは大好きなメロンでした。これは嬉しい♪

8月は島根県産シャインマスカットを予定されているそうですよ。

秋はサツマイモや栗、カボチャを使ったもの。寒くなる時期には体が温まるスープも考えておられるとか。

いよいよデセールのスタートです!

吉岡さんが、颯爽とパルフェを持って私たちの前へ登場しました。

「ここで最後の仕上げをしてからお出ししますね。」と、吉岡さんがグラスにビスキュイ(焼き菓子)とオパリーヌ(飴細工)を丁寧にのせていきます。

「まずはこちらを“少し”召し上がってください」と吉岡さん。

えっ? “少し”? なんだか気になる言葉ですが……。笑

言われたとおりに、まずは少しだけいただきましょう。

真上から見たパルフェがこちらです。

華やかなピンク色のオパリーヌが、まるでガラス細工のように美しく、ひときわ目をひきます。

一般的な飴細工はとても硬くて、かじるとパキッとした音がしますよね?

でもこのオパリーヌはパリッとした食感。吉岡さんによると食べるときの噛みやすさを考えて作られたのだとか。

ビスキュイは、シフォンケーキをブラストチラー(急速冷却機)で一気に温度を下げ、ラスク状にしてさらに半日ほどじっくり乾燥させたもの。

甘さは控えめでアイスや生クリームとの相性が良く、サクサクと軽やかな食感です。

中央にあるのは木次牛乳と生クリームで作ったアイスです。

吉岡さんが様々な牛乳を使ってデザートの試作を重ねるなか、一番「自分がしっくりくる仕上がり」になるのが木次牛乳だったそう。

confectionery theoremのデザートをはじめ、HAPPY SWEETS FACTORYの商品にもこの木次牛乳が使われています。

そしてアイスのまわりにはシャンティクリーム(生クリーム)と青森県産トウモロコシ。トウモロコシは蜜で漬けて真空調理したもの。1つはバーナーで炙ってアイスのトップにのせています。

キラキラした透明なゼリーはレモンのクラッシュゼリー。プニュプニュとした食感が楽しめます。

他にはきび砂糖のクランブルやローストしたアーモンドとクルミのクラックラン(クッキー)。
一番下はヨーグルトと生クリームのムース。


1つのグラスに多彩な素材が絡み合い、口に運ぶたびにしあわせな気持ちに浸れます。

メロンリキュールを使ったグラニテが登場。キンキンに凍ってます!


少し食べ終えたタイミングで、吉岡さんがカウンターの向こうで何やら準備中?

私たちに見せてくださったのは、なんとキンキンに凍ったグラニテ(シャーベット状のデザート)。

フォークを使って力強く削り出していき……。

それを手早くグラスの中へ。ほのかにメロンの甘い香りが漂ってきます。

途中からメロンのグラニテが加わったことで、パルフェが一気にクールダウン!
さっぱりとした味わいに変化していきました。

最初に“少し”と言われたのは、これが理由だったようです。

使われているのは熊本県産「アールスメロン」。糖度が高く、贈り物としても人気のメロンです。


そして忘れてはいけないのがこのパルフェの主役「メロン」。

追熟させたものと、追熟する一歩手前の、2種類のメロンを使って、追熟前のしっかりとした歯ごたえと、追熟した後のとろけるような舌触り、どちらもこのパルフェで堪能してもらえるように盛り込んだそう。

細部にまでこだわったパルフェは、どのような素材の組み合わせが美味しいのか、それを知り尽くした吉岡さんだからこそ出来る至極のデザートでした。

パルフェの次は、小菓子4種

左からテリーヌショコラ、ペンネクロッカンテ、プティシュークリーム、マカロン。


パルフェを堪能した後は、小菓子と飲み物をいただきます。

私はアイスコーヒー、友達はホットコーヒーをお願いしました。

「あくまでも主役はお菓子。このお菓子が引き立つコーヒー豆を厳選して使っています。」と吉岡さん。

コーヒーはコロンビア産を中心にブレンドしたオリジナルコーヒー。

クリアですっきりした味わいは、まさに焼き菓子と一緒にいただくのにピッタリです。

ちなみに奥様の菜緒美さんは、紅茶マイスターの資格を取得なさっているそう。

吉岡さん、それを早く教えてほしかった!先に知っていたら紅茶をいただいたのに……!

次に吉岡さんが見せてくださったのは、おろし金とトンカ豆の小瓶。

「テリーヌショコラに最後の仕上げをします」

おろし金でトンカ豆を削り、テリーヌショコラに振りかけていきます。次第に甘く、芳ばしいスパイスの香りが漂ってきました。

テリーヌショコラ

ヴァローナチョコレートを使ったテリーヌショコラ。


チョコレートのなめらかな食感と、芳ばしいトンカ豆の風味が相まって、チョコレート好きにはたまらない芳醇な味わい。これは是非アシェット・デセールで定番化してほしい焼き菓子です。

ペンネクロッカンテ

こちらのペンネクロッカンテは、この中で唯一「甘くない」焼き菓子。

作る工程がとてもユニークなのですが、ここで全てお伝えすると楽しみがなくなりますよね。こちらはぜひお店で聞いてみてください。

プティシュークリーム

一口サイズのプチシュー。ミニサイズながらもクリームの濃厚さが際立っています。
HAPPY SWEETS FACTORYでもシュークリームは人気の商品ですが、同じクリームは使われていないそうですよ。


マカロン

フランボワーズガナッシュをサンドしたキュートなマカロン。
アシェット・デセールのためだけに作られています。

パティシエ・吉岡徹さんにお話をうかがいました

こちらがパティシエの吉岡さんです。

出雲市斐川町の老舗和菓子店「吉岡製菓」の長男として生まれ、お父さまや職人さんが日々和菓子作りに勤しむ様子を、子供の頃からずっと見ていた吉岡さん。

「工場中に広がる卵と蜂蜜の香り、何十キロもある餡子が入った番重(食品用コンテナ)を親父が片手で担ぐ姿を今でも覚えています。」

そう話す吉岡さんは、どこか昔を懐かしんでいるようにも見えます。

いつも身近に和菓子がある環境で育ったものの、「でも僕が一番好きだったのは和菓子よりもケーキやシュークリームだったんですけどね。」と、ここで衝撃の事実を教えてくれました。


高校時代は、お小遣いでしょっちゅう地元の洋菓子店にシュークリームを買いに行って食べていたほど洋菓子が好きだったそう。

そんな吉岡さんがパティシエを目指すきっかけとなったのが、この「シュークリーム」でした。

いつものように買ってきた大好きな洋菓子店のシュークリーム。

ところがこの日、味に違和感を覚えます。

「あれ?何かいつもが違う。」

おかしいと思い、自分の舌を確かめるように、それから二度、三度と買いに行きましたが、やはり以前とは味が変わっていました。

好きだったお店の味が変わってしまったことにショックを受けた吉岡さん。

でもそこで気が付きました。

「そうか、自分の好きな味は、自分で作るしかない。」

パティシエになると決心し、まずは洋菓子に欠かせないフルーツの知識を学ぼうと、吉岡さんが高校卒業後の進学先に決めたのは、製菓の専門学校ではなく地元の大学でした。

そこで農業物理学、水理学や構造力学を学び、何よりの目的だった農場での実習体験を得て、洋菓子には欠かせないフルーツへの幅広い知識を習得。

大学を卒業後は、愛知、兵庫、滋賀、そして地元山陰でパティシエとしての修行と経験を積み、昨年2025年5月にスイーツショップ「HAPPY SWEETS FACTORY」をオープンしました。

生クリームサンド「AWASE」だけでこのラインナップ。なんと12種類もありました!

HAPPY SWEETS FACTORYでは、生クリームサンドの「AWASE(あわせ)」のほか、ケーキや焼き菓子など様々なテイクアウトスイーツを販売し、今では県内外から足繁く通うファンがいるほど。

これほど人気なのに、新たにアシェット・デセールのお店もオープンしたのはなぜでしょう?

その理由を尋ねました。

confectionery theoremは直訳すると、「菓子の定理」という意味。


アシェット・デセール専門店を作った主な理由は、「私自身の表現したいことが、テイクアウトのみでは表現しきれないからです。」吉岡さんはこう話します。

「形状、味、水分量、鮮度など、挙げればキリがありませんが、自分の生きていた足跡を残すというか、こんな考えのパティシエもいるんやで、みたいな……。アシェット・デセールを通して自分の世界観を提供していきたい、そんな思いが私の中にあります。」

お菓子作りにおいて、自身の中に「菓子の定理」といった一定の基準があり、HAPPY SWEETS FACTORYのテイクアウト菓子はこの定理を厳守し、confectionery theoremではそれを守ったり、あえて破ってみたり……。

「この素材にはこれ」といった概念を捨てて、自由に表現し、お客様が喜んでくれる最高のデザートをここで提供していきたいと、吉岡さんはconfectionery theoremを立ち上げた思いを語ってくださいました。

吉岡さんと奥様の菜緒美さん


いかがでしたか?

アシェット・デセールは予約制で、初回開催日は6月25日から7月9日(店休日を除く)となっています。それ以降の開催日など、詳しくはInstagramにてご確認くださいね。
ご予約は電話のみ受け付けています。

confectionery theorem(コンフェクショナリー・セオレム)
住所
島根県松江市上乃木5丁目2-14 MONOTONE 02棟 2階 HAPPY SWEETS FACTORY内
営業時間
第1部11:00〜(4席)、第2部14:00〜(4席) ※開催日によって変更の場合があります
定休日
不定休(開催日はInstagramにてご確認ください)
電話番号
0852-78-2774
公式サイト
https://www.instagram.com/confectionery_theorem/
駐車場
あり
※データ・写真など上記情報は記事作成時点のものです。
※臨時休業や営業時間の変更の可能性がありますので、お出かけの際は、最新情報はお店の公式HPや公式SNS、直接店舗にお電話ご確認ください。
※新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、施設へお出かけの際は、鳥取県・島根県や各自治体が発表する最新情報、要請などをご確認のうえ、手洗いやマスクの着用、人と人との距離の確保など基本的な感染防止対策(新しい旅のエチケット)を徹底していただくようお願いします。

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山陰の魅力を食を通じて伝えていきたい。 ほんの少し笑いの小ネタも添えて(・Θ・)
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