
生卵ひとつで小さな旅。「おもじろ釜」で湯けむりスロータイム
島根県松江市にある温泉地、「玉造」。その入り口に、少し変わった体験ができる場所があります。
名前は「おもじろ釜」。源泉がこんこんと湧き出るこの場所は、生卵を持っていけば誰でも自由に“温泉卵”が作れる穴場スポットです。
今回、実際に現地を訪れ、手づくり温泉卵に挑戦してみました。
湯けむりに包まれながら過ごす、ちょっとした非日常の時間。旅の寄り道にぴったりな、心ほぐれる体験をご紹介します。
おもじろ釜とは?
おもじろ釜は、県道263号沿い、花仙トンネルの松江側出口付近に位置しています。この名称は、かつてこの地域が「面白村(おもじろむら)」と呼ばれていたことに由来するのだそう。

玉造温泉側から花仙トンネルに入る場合、トンネルを出てすぐに登場するので通り過ぎないよう注意が必要。

実際に体験!温泉卵をつくってみよう
温泉卵を作りに出かけるなら、卵、洗濯ネット、ビニール袋の3つを揃えておきましょう。

湯釜は深く、お湯も高温のため湯の中に手を入れることはできません。そこで洗濯ネットに卵を入れて、フックに引っ掛けておけば、あとは好みの時間放置するだけでOK。
引き上げたあとは濡れているので、卵の入った洗濯ネットごと入れられるようにビニール袋も忘れずに。
準備ができたら、いざ出かけよう!
マイベスト温泉卵を作るために……
持ってきた卵を洗濯ネットに入れて、湯釜へ沈めます。70〜80℃ほどの源泉で、おおよそ15〜20分でとろとろの半熟卵が完成します。


ちなみに、筆者はもう何度も温泉卵を作りに足を運んでいるのですが、初めて訪れた時に
「あんた、20分もつけたら固茹でになーけんね。今の時期だと14分でいい具合だわ。」
と一言だけ告げ、去って行かれた近所の温泉卵職人(?)にお会いしました。
その時のアドバイスを今でも忠実に守り、卵はお湯に沈めてからきっちり14分測ってから引き上げています。


そう、時間だけでなく、季節や卵の場所によっても出来上がりの固さが微妙に違ってくるのです。

温泉の香りや湯けむりに包まれながら待つ時間も、旅のごちそう。

湯釜のふちには、白く結晶化した湯の花がびっしりと付着していて、源泉の力強さを物語っていました。触れると硬くざらりとしていて、まるで自然が刻んだ時間の証のようでした。
完成!とろける温泉卵

ぼーっと待つこと14分。温泉卵の完成です。
ビニール袋に入れ、ほくほくした気持ちで自宅に帰り、いざ実食!

身はとろり、白身はぷるん。自分で作った温泉卵は、格別の味わい。塩やだし醤油などを持参すれば、その場ですぐいただくこともできます。

旅の中で、こんなに手軽であたたかい体験があるなんて。
「おもじろ窯」は派手な観光地ではありませんが、その素朴さが魅力。松江・玉造を訪れた際には、卵と洗濯ネットを持って、ふらりと立ち寄ってみてください。
帰り道にはきっと、釜の湯けむりと、自然に囲まれた周りの風景が心に残っているはず。旅のハイライトにはならなくても、静かに記憶に残る——そんな小さな寄り道を、次の旅にぜひ。
- 住所
- 住所
- 島根県松江市玉湯町湯町
- 駐車場
- 駐車場
- 2〜3台程度