静寂の中で不昧公好みの一服を体験「明々庵」
まろやかな口当たりにほのかな甘味と苦味が重なり、とても味わい深い抹茶。ですが、自分で抹茶を点てることはそうそうありませんよね?
今回は、かつての松江藩主である不昧公(ふまいこう)こと松平治郷が築いた茶の湯の文化により、現在では全国屈指のお茶処となった松江市で、気軽に茶道体験ができる茶室「明々庵」をご紹介いたします。
幾度となく移築を繰り返した茶室
「明々庵」は安永8年(1779年)に、城の濠をはさんだ東側に建つ家老屋敷である有澤邸内に建てられました。
その後、長い歳月の中で東京などへの移築を繰り返し、昭和41年(1966年)に現在の地へと移築されています。
周辺はアスファルトにより整備され、現代的な風景なのですが、道幅は昔から変わっていないのでしょうか?細くうねった、風情のある道が散見されます。
駐車場からの僅かな道中でしたが、周囲の清廉な空気を感じながら歩くことができました。
松江における「茶の湯文化」の歴史を学ぶ
明々庵は入館料を支払えばいつでも見学することができますが、是非お試し頂きたいのが、茶道の礼儀作法や歴史が学べる「茶道体験」のコースです。さらに追加で「お点前体験」も申し込めば、自分で抹茶を点ててみることもできるので、尚お勧めです。
7日前までに予約が必要ですので、事前の申し込みをお忘れなく!
銘菓と共に一服
一通り説明を受けたところで、習ったばかりの作法に沿ってお菓子とお抹茶で一服。
まずはお菓子を口にしてから、次に抹茶という順番で頂きます。
今回は松江三大銘菓から2つ、求肥に綺麗な緑色のそぼろをまぶした「若草」と、菜の花畑と白い蝶を表現した「菜種の里」を頂きました。
爽やかで優しい甘味とその後口にする抹茶の柔らかい風味がとても心地よく、清く朗らかな気持ちになりました。
ちなみにお茶を一服二服と数えるのは、当時、お茶が飲み物ではなく薬として輸入されていたことが由来だと言われています。
自分で点てる
続いては用意された茶器を習ったとおりに扱い、お茶を点てていきます。
ぎこちなくもいくつかの所作をこなし、抹茶の粉に湯を注いで綺麗に泡立てられるように混ぜていきますが、力加減が難しくなかなかうまく泡立ちません。が、なんとか点てることができました。
そして、和菓子「天の川」と共に頂きます。
初めて自分で点てたお茶は不恰好なものとなりましたが、作法云々よりも愉しむことが大切だというのが大名茶人である不昧公の流儀。数百年前から愛され続けている「茶の湯文化」とその心意気に触れることができました。
茶室や庭園を散策
茶道体験が終わったら明々庵や庭園の見学となります。
出雲庭園と呼ばれる枯山水の庭と、茅葺き屋根の茶室が佇む景色はとても綺麗で、随所に不昧公のおもてなしの精神を感じることができます。
また、ガイドさんの説明により、建物の造りや歴史を学びながら、明々庵や不昧公にまつわるちょっとしたエピソードなども聞くことができ、より深く理解することができました。
質素に慎ましく、奥深く豊か
いかがでしたでしょうか?今回は松江市の「明々庵」をご紹介いたしました。
一時期は豪華絢爛な茶器を自慢し合うような流行りもあったお茶事情ですが、「大名茶人」と呼ばれた不昧公によって松江にもたらされたのは、純粋にお茶を愉しむことで得られる「真の心の豊かさ」でした。
物や情報で溢れかえり、スマートフォンを使えば片手で何でも得られるような現代ではありますが、たまにはそのような便利なものを一切省いた静寂の中で、美味しいお茶で一服しませんか?
- 住所
- 住所
- 島根県松江市北堀町278
- 営業時間
- 営業時間
- 【4月〜9月】8:30〜18:30 【10月〜3月】8:30〜17:00
- 電話番号
- 電話番号
- 0852-21-9863
- 公式サイト
- 公式サイト
- https://www.meimeian.jp/
- 駐車場
- 駐車場
- 5台程度