山陰まんなか観光局

ココビトの綴り
山陰まんなかアンバサダーが綴る 届けたいココへの思い
San`in Mannaka Tourism Bureau presents [COCOBITO no TSUDURI]
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山陰まんなかアンバサダーが綴る 届けたいココへの思い

「紡」~季節を食すということ

『季節ものをその季節に食べる。』そんな当たり前のことが、逆に難しい現代。
ありがたいことにスーパーに行けば年中なんでも手に入り、どんな遠い土地の物でも食べることができます。
しかし、いつが旬なのか、どんな風に作られているのか知らずに口にしている子どもが、もしかしたら多いんじゃないかなと思います。

出雲市にある「紡」さんでは、旬を感じ、季節のものをその季節に食べられるコース料理をいただくことができます。


看板も何もない、一軒家。
目印は、大きな酒樽の蓋の扉。
そこを開けると、タイムスリップしたような落ち着いた空間が広がります。

自宅兼お店の、こじんまりとした少人数向けの完全予約制の隠れ家です。


紡さんでは近くで作られたものをその季節に、同じ食材でも様々な調理法で食べます。
昔は大根が採れる時期には大根ばかりが食卓に並び、タケノコの時期にはタケノコばかり…。そんな自然と一緒に作る食卓がここにあります。
「ばっかり食」。紡さんはそう呼びます。


そんな紡さんを今回は紹介します。

●食べることへのこだわり

『身土不二(しんどふじ)』
紡さんが大切にされている考え方です。
体と土とはひとつであるとし、人間が足で歩いていける身近なところで育ったものを食べて生活するのが良いという考え方です。

体調を崩されたことなどがきっかけで食に興味を持ち、影響を受けた民宿に住み込みで働いたことが始まりで、料理や考え方などを吸収していかれました。

その後縁あって酒蔵で働くことになり、そこで酒造り以外にも地元の野菜や魚を地元で食べるという、まさに身土不二の生活を実感する機会に恵まれたそうです。
民宿では薪を割ってお風呂を沸かしたり、酒蔵では柿渋を防腐剤や清澄剤として使ったり。昔は当たり前に営まれていた生活に触れ、「暮らす」ということにも深く影響を受けられました。

「自分の周りには先生が沢山いる。」と話された紡さん。

いろんな人との出会いを通して教わったことや食べること・空間で心を満たすことの素晴らしさを、自分の隣の人や向かいの人に少しでも伝えることが出来たらと、週一回友達らに料理を振る舞うことから紡がスタートしました。

●四季の食材へのこだわり

季節により移ろい変わる食材。紡さんへは、四季を通して通いたくなります。
今回は冬の食卓をご紹介します。

蓮根、白ネギ、春菊、黒豆、柚子など、冬の食材が勢ぞろいです。

紡さんでは、お品書きが最後に出てきます。
不思議に思って尋ねてみると、「お品書きの情報にとらわれず、これはなんだろう? どうやって作ってるのかな? と料理に対して興味を持ってもらったり、自分で感じるということを大切にしてほしい。」という想いだそうです。

なので、ここでもお品書きは最後に出しますね。

まずは前菜。

キッシュには蓮根が乗っていたり、手前には柚子の香りが。奥には黒豆。
ほろほろ・とろとろの蓮根饅頭。山芋も入ってるのかな?
出西窯の器を開けると、チーズたっぷり。ここには葱!!
これはすぐに分かった!大根。
なんだろうと食べてみると、ほのかに春菊の香りが。生で食べたの初めて!
えー! ご飯に春菊入ってる!! 新発見! 美味しい~。
最後は黒豆の入ったケーキでまったりと。


最後に、答え合わせのお品書きが出てきました。
これもまた楽しいものです。


四季の献立を是非ご紹介したくて、紡さんから写真をお借りました。


四季折々の食材がふんだんに使われていて、お品書きを見ているだけでも楽しくなります。

●空間へのこだわり

食の他に大切にされているのが、家具などの空間づくりです。

酒蔵で使用されていたものがあちこちに。

職人さんに長く大事にされてきたであろう木たちに囲まれた空間の何とも言えない温かさに、ほっと力が抜けます。木の温かみって不思議です。

玄関の大きな扉は、かつて使われていた酒樽の蓋。よーく見ると数字が彫ってあります。タンク番号だそう。
カウンターの椅子も樽の蓋を再利用されています。
分厚いかまどの蓋。
トイレの鏡は、麹を作るための道具「もろ蓋」だとか。


長く使われてきた着物も、空間づくりの一つになっています。


食だけでなく空間づくりにも、こだわりがいっぱい詰まった場所。

ありきたりな言葉しか出てこないけれど、
自然の中で生かされ、季節のものを頂いているというありがたさや、作ってくださっている方の大変さ、食べることは生きる基本なんだなと改めて感じることのできる空間です。

きっと昔は身近で当たり前に感じていた感謝なんだろうけれど、今は意識しないと気づきにくくなっている時代なのかもしれませんよね。

そんなことを感じる時間でした。

『ここに来て「明日も頑張ろう」と思ってくれたら嬉しい。』

そんな思いで今日も営まれる紡さん。

ぜひ季節を感じに行ってみてください。

紡(つむぎ)
島根県出雲市国富町544-7
11:00~14:30、18:30~21:30(完全予約制)
日曜日
080-1907-4502
https://www.izumo-tsumugi.com/
※データ・写真など上記情報は記事作成時点のものです。
※臨時休業や営業時間の変更の可能性がありますので、お出かけの際は、最新情報はお店の公式HPや公式SNS、直接店舗にお電話ご確認ください。
※新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、施設へお出かけの際は、鳥取県・島根県や各自治体が発表する最新情報、要請などをご確認のうえ、手洗いやマスクの着用、人と人との距離の確保など基本的な感染防止対策(新しい旅のエチケット)を徹底していただくようお願いします。
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maki__photograph
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島根県在住。趣味のカメラで、人や風景など自分の好きなものを撮っています。山陰のステキな場所や人をお伝え出来るようがんばります!
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