山陰まんなか観光局

ココビトの綴り
山陰まんなかアンバサダーが綴る 届けたいココへの思い
San`in Mannaka Tourism Bureau presents [COCOBITO no TSUDURI]
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ミツトリヒトギという生体~個性あふれる古民家アトリエ&カフェ

ゆっくりとした時間が流れる、田舎の一軒家。

大きく深呼吸したくなるこの場所に、力強く生きるデザインと心地よい風の通る古民家があります。


ここは、島根のタベイさん(デザイナー)と東京のヤナギモトさん(アートディレクター)の二人が創っているギャラリー工房。それにカフェ。

今回はそんなミツトリヒトギを紹介します。

●ミツトリヒトギって?
●作品たちのこと
●ギャラリーカフェのこと
●二人のこと

について書きました。


ミツトリヒトギってなんだ? まず、私は名前の由来が気になりました。

それは、お二人が創り出した想像上の生き物で、“ヒトギ”という名前の菌が、果物の蜜を吸って上へ上へと育っていく様子のことだそうです。

     ミツトリヒトギ

何とも言えない響きとそのフォルムが大好きになりました。


「生きものの強さ・育ちゆくもの」をテーマに、いろんな人の想いを乗せてミツトリヒトギのデザインは創り出されています。



ここには作品がのびのびと並べられています。

鮮やかなデザインに、ぶわっと心が動かされます


「作品たち」のこと。

ミツトリヒトギの作品は、シルクスクリーンという染めの技法を使って作られます。

昔から絵を描くことが好きで、美大へ入ったタベイさん。初めは手ぬぐい作りから始まりました。


「手ぬぐいじゃ狭い! 情熱が収まりきらん!」と、大きな布を染めるようになりました。


この布は、80㎝刻みで同じ柄を繰り返し、一枚の長いものができています。

どこに切れ間があるのか、まったくわからないほどに精巧にデザインされています。

仕組みを聞くと、途方もない作業でした。

版の端は、繋げた時に気づかれないようにこんなに細かい工夫がしてあります


それをタベイさんは、「誰でもできるものを作っても面白くないじゃん! 制限のある中で、その限界にチャレンジしたい」と、楽しそうに語るのです。

根っからの職人さんなのだな。作りたくてたまらないという衝動のような、そんなパワーでした。

自分で創り出すことの大変さやしんどさをひっくるめて、楽しむ強さを感じました。


自作の作品だけでなくそれぞれの商品には、お二人のビックリするほど細かなこだわりが詰まっています。

そのこだわりを少しご紹介。



例えば、くろもじのお香。

これは飯南観光協会さんと一緒に作った商品です。「森を届けたい」という想いを商品に込めた、こだわりの一品。

この表紙のデザインは一見森のデザインだと思いますが、よく見ると左から右へと四季の移り変わりが描かれています。

春には土筆やメジロ、梅雨が来るとヒキガエルが・・。

夏が来て、秋になるとタマゴタケやミノムシ。そして冬へ。

表紙裏に書かれているくろもじの木も四季の移り変わりを描いています。

書いてある草木・虫はちゃんと飯南町に実在するもので、観光協会さんと一つ一つ相談しあったそうです。

デザインだけでなく、文字ひとつ紙ひとつ取っても、想いが反映された細やかなこだわりが沢山です。



プラスチックを使わず紙のみで作る、自然に優しい商品を紙屋さんと試行錯誤され、独特な折り方になっています。

そして、パッケージを折る作業は、飯南町の就労支援事業所さんに依頼。作業中、部屋中がくろもじの香りに包まれ、癒されながら作業ができたと喜ばれていたそうです。

こうしていろんな人の手が加わり、一つのクライアントさんの想いが形になります。

そんなこだわりの商品を是非、手に取って聞いてみてください。

そんな情熱のこもった作品がちりばめられている「場所のこと」


古民家の落ち着いた雰囲気の中にある、ヒトギデザイン。

鮮やかな色彩で、そこにいるだけで力が湧くようです。



奥に進むと、風の通る素敵な空間があります。

ばあちゃんちに来たような、ずっと前から知っているような、落ち着く雰囲気。

カフェは水~土の週4回の営業で、金・土には予約制でランチもあります。

焼きたてのホットサンドや焼きおにぎりランチなど、こだわりの詰まったメニューばかりです。

焼きたてのホットサンドはいつでも食べれます


ランチの揚げたて焼きおにぎり絶品! 要予約


ランチの後は、デザート。

ヒトギ特製珈琲ゼリー


田んぼや山々の借景も相まって、庭を眺めながらのひと時はふーっと疲れが癒されていくようです。

「ヒトギのデザインに囲まれて、ここで日常から解放されてゆっくり過ごせるような場を作りたい」そんな思いで作られたカフェ。本当にゆったりと過ごすことができました。



・・・・ちょっと余談。ヒトギに来たら、必ず行ってほしいのがトイレです。

写真では伝えきれない空間が広がっています
白いのに森に迷い込んだような感覚


扉を開けると別世界が広がります。デザイナーのこだわりを存分に味わってください。
 



ミツトリヒトギを作っている「二人のこと」。

ミツトリヒトギを心から楽しんでいるお二人


中学からの同級生で、ずっと東京に住んでいた二人。

「たくさんの人にタベイさんのデザインを見てもらいたい」という想いが出発点となり、一緒にテーマやデザイン考え営業をして個展を開いたり、お店に置かせてもらったりと、販路を拡大していかれました。

ヤナギモトさんは、タベイさんの一番のファンであり、クライアントさんの想いを深く聴き取り、デザインの構想を一緒に考え出す唯一無二の相棒です。



何度も喧嘩をしたり、距離を置いたりと、さながら恋人同士のような歴史を重ねて今のスタイルが出来上がったとのことです。

そして、東日本大震災をきっかけに島根での暮らしを始められたデザイナーのタベイさん。

今では毎日東京と島根で連絡を取り合い、一緒にいた時と変わらずデザイン試作を繰り返し、細部まで二人のこだわりをつめ込んでいます。

「二人でヒトギ」(左:ヤナギモトさん 右:タベイさん)



「何年経っても、依頼主にとって愛のこもったデザインであること。道に悩んだ時にも『あぁそうだった。こんな気持ちで始めたんだった』と、よりどころの様になるものを作ることを大切にしている」とヤナギモトさんは話してくださいました。

二人の創り出しているミツトリヒトギも今年で20年。

「この場所が、色々な人が集まって色々な夢を語り、他の人と繋がって、新しいことが生まれる場所に育ってほしい」


そんな想いを持ちながら、ミツトリヒトギの成長は続きます。

ぜひこの空間を味わいに行ってみてください。

ミツトリヒトギ
島根県出雲市多久谷町61番地
10:00~16:00
月・火・日曜(カフェは金土のみオープン)
090-7802-4437
https://www.instagram.com/mitsutori_hitogi/
※データ・写真など上記情報は記事作成時点のものです。
※臨時休業や営業時間の変更の可能性がありますので、お出かけの際は、最新情報はお店の公式HPや公式SNS、直接店舗にお電話ご確認ください。
※新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、施設へお出かけの際は、鳥取県・島根県や各自治体が発表する最新情報、要請などをご確認のうえ、手洗いやマスクの着用、人と人との距離の確保など基本的な感染防止対策(新しい旅のエチケット)を徹底していただくようお願いします。
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島根県在住。趣味のカメラで、人や風景など自分の好きなものを撮っています。山陰のステキな場所や人をお伝え出来るようがんばります!
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