心凪ぐ朝に、二礼四拍手一杯「早朝の出雲大社」
流行病との闘いもひと段落し、観光地は賑わいを取り戻しつつありますが、出来れば人混みは避けたいものですよね。そのエリアの代名詞のような人気スポットへ行こうものなら、溢れ返る人の波や長蛇の列が、容赦なく体力と時間を消耗させ、同時に心の余裕も奪っていきます。
山陰を代表し、日本でも屈指の神社仏閣の一つである「出雲大社」もそのご多分に漏れません。神聖な場所ですし、せっかく来たのだから、ゆとりのある澄んだ心持ちで巡りたいのですが、前述の通りなかなか難しい現実があります。
そこでご提案するのが、朝6時より参拝出来る「早朝の出雲大社」です。
ゆったりと参拝しつつも数多のパワースポットを巡り、締めくくりに朝から開店しているお蕎麦屋さんで一杯の出雲蕎麦をすすり、心とお腹を満たすことが出来る高効率ボンバープランとなっておりますので、どうぞ最後までご覧ください。
参拝の始まりは稲佐の浜から
出雲大社参拝における第一手といえば、神話の舞台ともなった「稲佐の浜」に行くことです。遠くに三瓶山を望み、波が打ち寄せる砂浜には弁天島が鎮座しています。
駐車場があるので車で来れますが、出雲大社からは徒歩15分ほどの場所ですので、出雲大社の駐車場から「神迎(かみむかえ)の道」を歩いて来るのもおすすめ。街並みが古くとても良い雰囲気です。
まずは弁天島に向かって参拝を済ませ、足元の“お砂”を頂き、出雲大社へ向かいましょう。安全に砂を持ち運べるようにジップ付きの袋の持参をおすすめいたします。
尚、ここでは旧暦の10月10日に「神迎神事(かみむかえしんじ)」が行われ、全国からたくさんの神様がお越しになられます。そして、神迎の道を通り、出雲大社へと向かわれるのです。
心清らかに鳥居をくぐり、祓社(はらえのやしろ)に
さて、キーアイテム“稲佐の浜の砂”を持って「勢溜(せいだまり)」の鳥居をくぐる。鳥居の中央は神様がお通りになるので、左右どちらかに寄り一礼をした後で進んでいく。
そして、珍しい「下りの参道」を少し進んで、右手に現れるのは「祓社」。出雲大社の特徴的な参拝作法“二礼四拍手一礼”にてお参りをし、心身の穢れを清め、これから巡るパワースポットの御利益を余すことなく受け取れる状態にします。
人の多い時間帯に来ると、ここでいきなり行列にハマり、足止め&時間を消費することもしばしばありますが、早朝の参拝であればその心配は無用です。
木漏れ日が綺麗な松の参道を歩く
朝は日差しが柔らかく、優しい日光の中を歩くのはとても気持ちが良いですよね。祓社にて心身を清めたら、続いては木漏れ日を浴びつつ、左右に大国主様の名シーンを再現した像を観ながら「松の参道」を通り、手水舎で再度お清めを行います。
手水舎での作法は、以前は柄杓を使った手と口のお清めでしたが、流行病の影響を受け、柄杓は撤去されております。この数年、あらゆる場面で“新様式”などという言葉が聞かれましたが、神社の参拝においても以前とは異なった部分があります。こうした時代の変化によって忘れ去られるモノやコトは、これまででも数多くあったのかもしれません。
刻まれた文字がくっきりと浮かぶ銅の鳥居
早朝の出雲大社においてとっても印象的なのが、朝の光が作り出す美しいコントラストの風景。先ほどは松の参道がとても綺麗でしたが、次に通る銅の鳥居では彫られている文字がくっきりと浮かび上がります。真昼間に来ると、太陽の位置が高く光がすべての物に均等に当たるため、このような綺麗なコントラストは生まれません。朝方の低い位置にある太陽が発する光は、周辺の木や建物に遮られることによって、光が当たる部分と当たらない部分の明暗差を作り出します。出雲大社の厳かな雰囲気を、更に荘厳な景観へと昇華させています。
澄み渡る神聖な空気を独り占め
銅の鳥居をくぐると出雲大社ならではの特徴的な建造物を観ることが出来ます。やはりこの時間は参拝者の数がかなり少なく、一つ一つをゆったりとお参りすることが出来ます。
また、お守りや御朱印をお求めの方もご心配なく、拝殿裏手にある販売所は早くから開いているので、そちらで購入することが出来ます。
御砂と素鵞社(そがのやしろ)とご神体「八雲山」
続いて、八足門に向かって右手の方から本殿の裏手に回ってみると、素鵞社が見えてきます。ここには神話で「八岐大蛇(やまたのおろち)」を退治したとされる、荒ぶる勇猛な神「須佐之男命(すさのおのみこと)」が祀られています。
ここも人の多い時間であれば行列が出来るスポットですが、それには3つの理由があります。1つは“厄をも薙ぎ払う”須佐之男命の厄除けパワーを求めて。もう1つは先ほどのキーアイテム“稲佐の浜の砂”をここで“清めの砂”に交換出来ること。清めの砂は家に持ち帰り、家の四隅に埋めると、その土地に厄除けや魔除けといった効果をもたらすそうです。そして、最後の理由は素鵞社の裏手にあり、出雲大社の御神体とされ、何人たりとも入ることが出来ない禁足地「八雲山(やくもやま)」に直接触れられるということです。
早朝は人が少なく時間も多く取れるので、ゆっくり丁寧に参拝することが出来ます。
人気写真スポット、本殿裏のうさぎ像
素鵞社を後にするとすぐに目に入るのが、国宝である出雲大社本殿の裏の景色。威厳溢れる大社造の屋根の下には可愛いうさぎさんがいます。木々に囲まれやや薄暗く、周辺の苔や木の根が良い雰囲気を作っています。
そしてここは人気の写真スポットとなっており、うさぎと本殿と人をフレームに入れ、下からあおるようにして撮ると良い感じの記念写真が撮影できます。スマホ画面に最適な縦向きで撮影するのがおすすめです。こちらも人が集まりやすい場所ですが、早朝であれば空いています。何回でも言います。
大国主命は西側を向いている。
さて、裏から本殿の西側に歩くと、小さな参拝所があります。
実は大国主命は本殿内で西側を向いておられます。西方には稲佐の浜があり、神在祭において稲佐の浜からいらっしゃる、八百万の神様をお迎えする方角となっています。ここでは大国主様と対面する向きでお参りすることが出来るのです。ちなみに八百万(やおよろず)というのは“たくさんの”という意味です。
巨大しめ縄の神楽殿(かぐらでん)
出雲大社といえばこの建物、という人も多いかもしれません。ここは神楽殿という建物で、御祈祷や結婚式などが行われています。見どころは何といってもこの大しめ縄、長さ約13mで重さは5.2t、数年に一度、新しいしめ縄にかけ替えられますが、その際は重機を使っての一大作業となります。お守りの販売所にもなっており、混み合っていることが多いです。
写真スポットとしては出雲大社随一といって良いでしょう。この大しめ縄の真下のしかもセンターに陣取り、他に人をフレームインさせずに写真を撮るにはそれはもう朝しかありませんよ。
山王社(さんのうしゃ)と命主社(いのちぬしのやしろ)
朝6時に稲佐の浜に到着して、車で出雲大社まで移動したと仮定すると、ここまでの参拝で1時間~1時間半くらい経っているかと思います。お蕎麦屋さんが開店する8時までもう少し時間がありますし、ぜひ足を運んで頂きたいお社をご紹介いたします。
まずは銅の鳥居に向かって右手に進んで行き、北島国造館を左手に見ながら歩いていると、山王社が見えて…来ません。北島国造館の駐車場の奥の方に目を凝らすと石の階段があり、そこを登ると山王社にたどり着きます。高い木々に囲まれた小さなお社がとても良い雰囲気です。階段を降り再び道路に戻り、もう少し東(出雲大社とは反対方向)に進むと命主社があります。
こちらは樹齢千年のムクノキが目印のパワースポットで、この世界に現れた最初の三神のうちの一人、神産巣日神(かみむすびのかみ)が祀られています。
朝8時から開店、「出雲蕎麦 おくに」
朝の清々しい空気の出雲大社を参拝し、たくさんのパワースポットを効率よく回ることができたのではないでしょうか?たくさんの御利益を賜り、心身はパワーで満たされていることと思います。
しかしどんな神様でも空腹を満たしては下さいません。良い運動にもなり、お腹も空いてきた頃だろうと思いますので、モーニングお蕎麦はいかがでしょうか?
出雲大社大駐車場の出入口すぐ向かいの、「出雲蕎麦 おくに」は朝8時からオープンしており、朝早くから出雲蕎麦を食べることが出来ます。
出雲蕎麦は、蕎麦の実の皮を一緒に挽くことで出来る黒色の蕎麦で、香りがよくタンパク質、ビタミンB1、B2が多く含まれるなど、栄養価が高いのが特徴のお蕎麦です。食べ方は様々で、割子蕎麦やざる蕎麦といった冷たいお蕎麦から、温かい蕎麦まで色々楽しむことが出来ます。
私が行った日曜日は開店と同時に30席はあろうかという客席の半数以上が埋まっていました。冷たい蕎麦も温かい蕎麦も、どちらもとても美味しかったです。
良い参拝は良い心持ちから
いかがでしたでしょうか?今回は「早朝の出雲大社」をご紹介いたしました。
旅先での貴重な時間を有効に使えるとともに、心にゆとりが生まれることで良い参拝ができ、更にはおいしい出雲蕎麦で締めくくるという流れでご紹介しましたが、モデルコースとしてぜひご検討下さい。
また、このボンバープランをこなしてもまだ朝の9時です。出雲及びその周辺には他にもたくさんの観光スポットや、美味しいお店がたくさんあります。
せっかくのご縁ですのでいろいろな所へ行ってみてください。
- 住所
- 住所
- 島根県出雲市大社町杵築北2711
- 駐車場
- 駐車場
- あり
- 住所
- 住所
- 島根県出雲市大社町杵築東195
- 営業時間
- 営業時間
- 6:00~19:00
- 電話番号
- 電話番号
- 0853-53-3100
- 公式サイト
- 公式サイト
- https://izumooyashiro.or.jp/
- 駐車場
- 駐車場
- あり
- 住所
- 住所
- 島根県出雲市大社町杵築東194付近
- 駐車場
- 駐車場
- あり
- 住所
- 住所
- 島根県出雲市大社町杵築東185
- 駐車場
- 駐車場
- あり
- 住所
- 住所
- 島根県出雲市大社町杵築東276
- 営業時間
- 営業時間
- 8:00~15:00
- 定休日
- 定休日
- 火曜日
- 電話番号
- 電話番号
- 0853-53-5190
- 公式サイト
- 公式サイト
- https://izumosobaokuni.jimdofree.com/