神気溢れる、深緑の森に最古の社「国宝 神魂神社」
島根県には3つの国宝があります。
出雲大社、松江城、そしてもう1つが今回ご紹介する「神魂(かもす)神社 」です。
一言に神社といっても、祀られている神様や人物、ご神体、社殿の形状はそれぞれ異なります。神社本来の役割としては“神道の信仰を司る施設”なのですが、それぞれの神社特有の由緒や歴史はとても面白く、“観光スポット”としてもたくさんの人々が足を運んでいます。
そんな神社の中から今回は、現存する最古の大社造の社殿を有する、島根県松江市の「神魂神社」をご紹介いたします。
深緑と石段による、重厚で厳かな雰囲気の参道
駐車場から参道に向かうと、鳥居とその傍らに神魂神社と刻まれた石が見えてくるが、これは第二の鳥居となっており、一の鳥居は後ろを振り返って桜並木の向こうに見える。
改めて一の鳥居から参道を歩き、二の鳥居をくぐる。さらさらと風になびく木々の深い緑、足元には踏みしめるごとに重厚な感触が伝わる黒い石段、一気に厳粛な空気に包まれる。
現存する最古の大社造
息を切らして石段を上がると、現存する最古の大社造と言われている社殿が鎮座している。
「大社造」とは日本の神社建築様式の一つで、島根県東部の神社に多く見られる。弥生時代の高床式の建物から派生したとされ、太く立派な柱と、美しい曲線を持った屋根が特徴である。
屋根には斜めに交差する千木(ちぎ)が装飾として付けられている。千木の形状から祀られている神様が男神であるのか、女神であるのかを判別できる。神魂神社は女神をお祀りしている。
国宝の本殿、重要文化財も含まれる末社(まっしゃ)
本殿は1346年に建立されるも一度は落雷により消失、1583年に再建され現在に至る。現在の柱材に健立当初の材料も見られる等、現存する大社造の社殿としては最も古く、昭和27年に国宝に指定された。
本殿の両脇には末社が並んでいる。有名なものだと、杵築大社(きつきたいしゃ)や伊勢社のほか、国の重要文化財になっている二間社流造(にましゃながれづくり)の貴布祢稲荷両神社(きふねいなりりょうじんじゃ)などがある。
また、直接見ることはできないが、本殿内部には江戸時代に描かれた壁画があり、天井には9つの瑞雲(ずいうん)が描かれているという。内部の絵については、社務所で販売されている絵葉書で見ることが出来る。
また本殿の扉の内側にも太陽と月の絵が描かれており、扉が開けられる祭礼の日には見ることができる。
出雲大社と関係の深い神社
神魂神社は天穂日命(あめのほひのみこと)によって創建されたと伝えられている。古事記によると天穂日命は、天上の神が地上の神である大国主命(おおくにぬしのみこと)を説得し、大国主命に代わって出雲の地を平定すべく、その遣いとして地上に降り立ったが、なぜか大国主命と仲が良くなってしまい、行ったきり天上に帰ってこなくなったというおちゃめな神様である。
天穂日命を始祖とする豪族、出雲国造(いずものくにのみやつこ)が25代に渡って神魂神社にて奉仕したとされており、出雲国造はのちに出雲大社の所在地である杵築に移住し、出雲大社の宮司家となる。同じく国宝で1744年に建てられ現存する出雲大社の本殿は、同じ大社造のため神魂神社とよく似ている。
神気溢れる空気を肌で感じられるスポット
今回は「神魂神社」をご紹介いたしました。
神社そのものについては古事記等の書物に記載が無く、いつからあったのかは不明ですが、400年以上前に建てられた本殿はとても荘厳かつ威厳に満ちています。境内までは階段がやや険しいものの、「女坂」という穏やかな坂の別ルートもあります。また駐車場も近いため、誰でも気軽に行けるパワースポットとなっております。
元気を貰いたい時や、日々のストレスに打ちひしがれそうな時には是非行ってみてください。
- 住所
- 住所
- 島根県松江市大庭町563
- 電話番号
- 電話番号
- 0852-21-6379
- 駐車場
- 駐車場
- あり