
お殿様の寝室がそのまま残る「平田本陣記念館」
山陰には歴史的建造物が数多く存在し、江戸時代の武家屋敷や、豪農、商人の屋敷なども多く見られます。
今回は、かつての松江藩主が滞在先での宿舎として使用していた本陣宿「本木佐家(ほんきさけ)」の屋敷を移築・復元して作られた「平田本陣記念館」をご紹介いたします。
本陣宿とは
本陣宿とは、江戸時代、参勤交代の際などに大名や幕府の役人が利用した特別な宿泊施設です。その中でも平田本陣は松江藩の藩主らが宿泊した由緒ある場所で、出雲地方の交通の要所としても重要な役割を果たしていました。
現在の平田本陣記念館は、酒造業や木綿販売といった手広い商売によって財を成した商人「本木佐家」の屋敷を、移築した施設です。
館内には出雲流の日本庭園や、当時の造りのまま移築した部屋、生活や文化がわかる調度品のミュージアムがあります。また、期間限定での美術展や写真展といったイベントも開催しています。

出雲流庭園
平田本陣記念館の見どころの1つは、本木佐家から移築した出雲流の庭園です。
出雲流庭園は大分類としては枯山水の庭で、石組や敷砂で風景を表現しています。
また、やや高めの飛石が打たれているのが特徴で、松平不昧公(まつだいらふまいこう)の影響により茶道との関わりが深く、茶室から庭を眺めたり散策できる場合もあります。
平田本陣記念館ではこの美しい庭園を眺めながら、お茶と和菓子を楽しむことができるのも魅力の1つです。
春は新緑、夏は涼しげな木陰、秋は紅葉、冬は雪景色といった、静寂の中にも威厳を感じさせる四季の移り変わりを、トロりとほろ苦い抹茶と共に楽しめます。



民俗資料の展示
平田本陣記念館には、明治から昭和にかけての出雲地方の人々の生活や文化を伝える民俗資料が展示されています。
日常生活に欠かせなかった衣・食・住に関する道具をはじめ、農業で使われた農機具や、防災器具、そして子どもたちが遊んでいた昔ながらのおもちゃまで、多種多様な展示品が並びます。
また、展示場では藍染めの歴史紹介や、機織り機といった道具の説明資料が多く並んでいました。
出雲地方は古くから藍染めが盛んな地域であり、この藍染めが日常着や仕事着、さらには祭礼の衣装などにも広く用いられ、地域の文化や暮らしに深く根付いていたことが分かります。






趣を感じる館内
松江藩が本陣宿として利用していた本木佐家ですが、平田本陣記念館の館内には実際に城主が宿泊した部屋である「上の間」が、当時の様子ほぼそのままの姿で移築されています。
柱などの木材は表面が擦れている部分が多く見られますが、擦れていない部分は当時の空気に触れていた箇所であり、ギラリと黒光りしています。
その他にも床の間、襖、欄間といった日本の伝統的な家屋に見られる部分も昔からそのままの姿で残っています。
また、縁側の方に目をやると、城主が出入りしていたとされる御成門が見えるなど、お殿様が実際に過ごしていた部屋や見ていた風景を体験することができます。




松江藩ゆかりのスポット
今回は、出雲市平田町の平田本陣記念館をご紹介いたしました。
上述した内容の他に美術工芸品などの展示を行う展示館もあり、普段は本木佐家にまつわる品々が数多く展示してあります。
今回は企画展を開催しており写真を撮ることはできませんでしたが、数か月ごとにこういった写真や絵画等の展覧会を催しているので、また来てみようという気持ちになります。
訪れるごとに表情を変える庭園に、季節の移り変わりを感じつつ、実際に宿舎として使われていた当時の空気感に浸ることもできるスポットにぜひ行ってみてください。

- 住所
- 住所
- 島根県出雲市平田町515
- 営業時間
- 営業時間
- 9:00~17:00(入館は16:30まで)
- 定休日
- 定休日
- 火曜日、年末年始、展示替日
- 電話番号
- 電話番号
- 0853-62-5090
- 公式サイト
- 公式サイト
- https://www.izumo-zaidan.jp/honjin/
- 駐車場
- 駐車場
- あり