岩溝の狭小参道のその先に「韓竈神社」
神話のふるさと出雲では、古くから名だたる神々とのゆかりが強く、神社を発信源にその信仰を大切に守り、現代に伝えています。それは出雲大社をはじめとした大規模な神社だけでなく、人里離れた山奥にひっそりと鎮座し、修繕や修築といった人による手入れが困難な神社にまで及びます。
今回は島根県出雲市の山中にあり、岩や木に囲まれた神社「韓竈神社(からかまじんじゃ)」をご紹介いたします。
建立時期不明の古い御社
韓竈神社は、出雲大社より北東の旧平田市唐川町の山中にある。創建時期は不明だが、出雲国風土記(733)には韓銍社(からかまのやしろ)という名前で記載があることから、1,200年は優に超える歴史を持っている。
駐車場から10分程度だろうか、参道入口まで舗装された道を歩くことになるのだが、そよぐ風に緑が揺れる音や小川のせせらぎ、小鳥やカエルの鳴き声等、豊かな自然の空気を感じながら進んで行く。
急勾配の石段が待ち構える
自然の音響を感じながら歩を進めていると、右手に鳥居が見えてくる。なるほどここかと一礼をし、鳥居をくぐり、ふと見上げると急勾配な石段が出現。ここまでの道中で蓄えてきた芳醇なマイナスイオンは、一瞬にして蒸発した。
ここから先は足元が滑りやすく、体重をかけるとぐらぐらする石もあるので注意して進みたい。
最終試練、狭小の参道
足元を注意しながら石段を登ること10分、大きな岩にぶち当たる。おや?行き止まりか?…と思いきや、岩に隙間があり、その先には空間が広がっているようだ。
幅40cmほどの隙間を突破すべく、体を斜めにして体中を岩に擦り付けながら進んでいく。神聖な御社への参拝を前に、雑念や邪気に包まれた体を清めているかのようだ。
メタボリックシンドロームの方は普段の不摂生を悔やむことになるだろう。
到着
大根おろしのように体をガシガシとすられながら、隙間を抜けると社殿の前に到着する。
小さな御社は岩に座し、先ほど抜けてきた狭い隙間もその岩の一部だという事に気が付く。出雲地方を南北に隔て、東西にまたがる険峻な北山山系の中腹にあり、生い茂る樹木や荒涼とした岩石に囲まれ、ぽつり佇む小さな社は、その対比からとても神秘的な存在感を放っている。
素戔嗚尊(スサノオノミコト)ゆかりの神社
帰りも狭い隙間を抜け、足元に気をつけながら下って行き、鳥居をくぐる。
右手に進むと「岩船」なるものがある。韓竈神社の祭神である素盞嗚命は新羅に渡り、日本に植林法やたたらや鍛治の技術を伝えた。韓竈の「竈(かま)」は溶鉱炉を意味し、周辺には野だたらの痕跡が残ることから、この地域は昔から鉄や銅に深く関係があったと推察される。この岩船は素戔嗚尊がそれらの技術をこの地に伝えた時に乗られたものだとされている。
数ある出雲のパワースポットの一つ
いかがでしたでしょうか?今回は島根県出雲市の「韓竈神社」をご紹介いたしました。
出雲周辺には八百万の神々にまつわる伝承や遺跡、建造物がたくさんあります。観光バスでは案内してくれないような、小さな神社にも一つひとつにエピソードがあり、この韓竈神社もまた、居たか居なかったのか定かではない神様の存在を感じることが出来ます。
豊かな自然を感じ、清らかで神聖な気持ちになることが出来るパワースポットに、ぜひ行ってみてください。
- 住所
- 住所
- 島根県出雲市唐川町408
- 駐車場
- 駐車場
- あり