脈打つ革のミュージアム「本池美術館」
「革」と聞いて何を思い浮かべますか?
すかさず靴、鞄、財布、ベルトといった身に着ける物が頭に浮かぶはずです。“革製品=お洒落アイテム”という側面も強くなっている現代ですが、人類が革製の衣類や道具を使うようになったのは数百万年前と言われており、その耐久性から太古の昔より主に人間の体を保護する為に使われてきました。
今回はそんな私たちの身近な存在である革をアートに利用した、鳥取県米子市の「本池美術館」をご紹介いたします。
世界的革工芸作家の美術館
本池美術館は革の人形作家として活躍し、鳥取県の無形文化財保持者である米子市出身の本池秀夫氏によって、約50年という長きにわたる活動で制作された革のアート作品を展示している。
迫力の表情に細やかな質感
館内に入ると、まずはこの馬が目に飛び込んでくる。受付を済まさなければ近くに寄れないのだが、遠くからでもわかる筋肉や骨格、浮き出た血管のリアルさに驚いた。
とても親切な受付のスタッフさんとのやり取りを終え近づいてみると、顔立ちや体毛といった馬の表情が、細やかな造形と複雑な塗装によって表現されていることに気が付く。
今にも動き出しそうな革の動物たち
順路に従い進んで行くと、たくさんの動物たちがお出迎えしてくれる。
スタッフの方に聞いたところによると、動物たちは作品にもよるがコンクリート、発泡スチロール、船などに使われる軽量なFRP樹脂等で型を作り、表情やシワなど細部に及ぶ造形を彫刻によって整え、その上から濡らした革を張り付けて完成させるとのこと。
どれも精巧に作れられており、まるで生きているかのよう。このエリアは写真撮影が可能なので、ぜひ動物たちと写真を撮ってほしい。
革工芸の技術が産み出す臨場感に息をのむ
本池秀夫氏は、全国初の革工芸での県指定無形文化財保持者に認定されている。革を題材とし、アーティストとして活動を続けてきた本池氏は、全国各地で美術展を開催し、出展された革の人形や動物は多くの人から喝采を浴びてきた。スケールが大きく、情熱とエネルギーを放出しているかのような革の動物とは反対に、老人や子供の生活の一コマを切りとった小さな世界には、緻密で精細な革細工の技術と壮大なイマジネーションがギュッと凝縮されている。
※以下の写真は特別に許可を取り、撮影及び掲載をさせて頂いております。
触れることの出来る革
展示物を観ていると、あまりの精巧な造形に触りたくてしょうがなくなるのだがそれは厳禁。
そう思っていたところに、作品に使われた革のサンプルに触れるコーナーが現れた。どの作品のどの部分に使われている革なのかが記載されているので、作品を思い浮かべながら革の質感を感じることが出来る。
ミュージアムショップとカフェ
革の魅力を十分に堪能したら、欲しくなるのがレザーグッズ。館内には、日用品やお土産にもぴったりなアイテムが揃うミュージアムショップがある。
また、ショップの奥にはコーヒーやロールケーキが食べられるカフェがあり、アンティークな空間で余韻に浸りながら一息つくことが出来る。
本来不要とされていたものに再び当たるスポットライト
いかがでしたでしょうか、今回は「本池美術館」をご紹介いたしました。
食用としての役目を終えた動物の皮は、本来であれば廃棄されるものですが、その皮に“なめし”等の加工を施したものが「革」となり、人々の生活に欠かせないものとなります。再び役割をもち、活躍する場を得た動物たちの脈動を、至高の技術によって創られたアート作品を通して感じ取ることが出来ますので、ぜひ行ってみてください。
- 住所
- 住所
- 鳥取県米子市大篠津町4841
- 営業時間
- 営業時間
- 10:00~17:00
- 定休日
- 定休日
- 水曜日、木曜日
- 電話番号
- 電話番号
- 0859-25-0550
- 公式サイト
- 公式サイト
- https://www.motostyle.jp/pages/museum
- 駐車場
- 駐車場
- あり(10台程度)