日本海側の重要港湾として栄えてきた街

三方を海で囲まれた弓ヶ浜半島の先端部にある境港市は、古くは夜見島と呼ばれていたそうです。
境港は自然条件に恵まれた山陰地方随一の天然の良港で1896年（明治29年）に開港、以来日本海側の重要港湾として指定され発展を続け、近年では国際貿易港としての機能も更に拡充させるために港湾整備が着々と進められています。

鳥取県内で最も人口が少ない市ですが、中国地方で最も面積が狭く人口密度は山陰地方最高。
古くから交易の場として活躍していた土地なので人口密度が高いのは納得ですね。

1993年からは水木しげるロードがオープンし、30年経った今でも多くの観光客が足を運んでいます。

そんな境港市にある酒蔵「 千代むすび酒造 岡空本店 」へお邪魔してきました。

境港市唯一の酒蔵

創業は慶応元年（1865年）。高杉晋作、新選組、坂本竜馬…そんな日本の歴史でも有名な人たちがまさに生きていた時代です。
そんな時代に「 日本魂 」「 岡政宗 」の銘柄で販売を始め、昭和以降は「 千代に八千代に契りを結ぶめでたい酒 」として銘柄を「 千代むすび 」と命銘。
こちらも鳥取ではお馴染み秀峰大山の麓の地下水を仕込み水に使い酒造りを行っています。

夏にはこちらの千代むすび酒造さんの甘酒茶屋で甘酒フロートをご紹介しましたが、今回は立ち飲み日本酒ＢＡＲがある岡空本店さんへお邪魔しました。

右側が千代むすびの全商品や地元の境港の海産物やお土産が買えるお店、左側が千代むすびのお酒と、お酒に合うおつまみを楽しめる日本酒ＢＡＲとなっています。

「 千代むすび 」が堪能できる角打ちスペース

明るい店内は立ち飲みができる明るいカウンターがあります。

グラス一杯からもオーダーできますが、やはり最初は飲み比べセットがお勧め♪

日本酒の仕込み具合によってラインナップに変化はあるそうですが、まずは大吟醸・吟醸・純米酒が味わえる「 千代むすびセット 」をいただきました。
どれから飲もうか悩みますよね？

ざっくりいうと、大吟醸のほうがお米(酒米)を削っている割合が多いので、より雑味のないスッキリした味わいになります。
お値段的には大吟醸が高かったりするので「後から味わおうかな？」と思いがちですが、せっかく飲み比べをするのなら、舌が繊細なうちに大吟醸や低アルコールの日本酒から飲むと味や香りの特徴を感じやすいかなと思います。

ということで、大吟醸から…。甘い香りが華やかですが香りが、鼻に抜けるとスッキリしていて爽やかな味わい。あっさりとした飲み口です。

次は純米吟醸千代むすび「 強力 50 」、この強力とは、鳥取県オリジナル酒米の名前で鳥取県でしか栽培されない酒米。力強いしっかりした味わいで飲みごたえがある吟醸酒です。

純米酒は辛口の中では一番人気だという純米辛口「 じゅんから 」。
香りは控えめながら米の旨味が強く、辛口といっても柔らかめの辛口。
冷で飲みやすく燗にしても料理に合いそうな味わいです。

順番に味わったあとは、自由に飲み進めていきます♪
こうなると、三種どれも美味しくてなんだかんだ味わいながらも「 全部好き！」となってきます。

飲み比べセットを堪能したので、次はおすすめの一杯をいただくことに♡

こちらは純米吟醸 山田錦 無濾過 生原酒 初しぼり。
毎年人気ですぐに売り切れてしまうフルーティーな味わいが特徴の限定酒！

こちらも華やかな香りですが、先ほどの大吟醸と違うのは口に含んだ瞬間に頬の奥、耳の下辺りがジュワ～ッとキュウウンとなる何とも言えない甘味と旨味。
この表現、きっと日本酒好きなら分かってくれる？

おつまみも気になったのでチーズの醤油漬けを注文。
こちらはクリームチーズをお醤油に漬けたものですが、ネーミングから味は想像できるものの、それを超える美味しさでした！美味しくて「醤油は何？醤油だけ？ほかに隠し味は？」とスタッフさんを問い詰めたくなる一品。もちろん日本酒との相性もバッチリ♡

千代むすびがズラッと並ぶ販売スペース

立ち飲みを楽しんだ後は、お隣へ移動して自宅用の日本酒を選びます。
色んな酒蔵の日本酒があると悩みに悩みますが、一つの酒蔵のお酒がこれだけ並んでいると更に悩んでしまいます！

今回は鳥取の酒米、強力を使った日本酒を購入しました。

この「強力」という酒米、背丈が高く育てにくいため昭和30年に一度栽培が途絶えましたが、
昭和61年に原種保存されていた僅か一握りの強力から関係者の尽力により復活し、日本酒が仕込めるまでの収穫量にたどり着きました。平成元年に醸造が復活、今では鳥取県の９蔵が「強力」を使った酒造りを行っています。
島根なら「 佐香錦 」鳥取なら「 強力 」という風に、酒米で日本酒を選ぶのも面白いですね。
お隣の県なのに酒米も個性があって飲み比べると面白いんです。

そして一本だけ買うつもりが、個人的に好きなにごりも目に入ってしまい…
「 千代むすび 純米吟醸 袋取り 生 強力 おおにごり」も購入してしまいました。
こちらは「 強力米 」を低温発酵させた「 活性おおにごり 」マイナス４℃で通年氷温貯蔵されています。

辛口の純米吟醸ながらも、にごりでまろやかさが加わり、味の濃いお料理とも相性がよい日本酒。

立ち飲みをしたことで味のイメージがつきやすく、自分好みの日本酒を選ぶことができるので日本酒を選ぶのも楽しかったです♪

ＪＲ境港駅からも近いので、米子市内からフラリと電車に揺られて遊びに行くのも良いかもしれませんね。