食文化と歩む松江の酒蔵「米田酒造」
城下町で愛され続ける地酒
松江市登録歴史的建造物に登録されている大規模な土蔵造りと煙突が目印の酒蔵を持つのは、創業1896年の「 豊の秋 」でお馴染みの米田酒造。
すぐ近くの店舗には「豊の秋」の文字が浮かぶ酒樽の看板があります。
日本酒を選びながら趣のある店内もゆっくり見てほしいです。
まずは可愛い招き猫がお出迎え♪ちゃんと豊の秋を持っているところもたまりません!
店内にはレトロな小物や酒器などが並び見ていて癒されます。
さて、今回は「ふっくら旨く、心地よく」をモットーに造られる地酒と、魔法の調理酒といわれる「地伝酒」をご紹介します。
純米大吟醸 鼕々(とうとう)
松江で古くから伝わる「 鼕(どう)行列 」は松江開府を祝い、五穀豊穣を願って町中を鼕(大きな太鼓)を叩きながら練り歩くお祭り。そんな鼕を思わせる日本酒「 純米大吟醸 鼕々(とうとう) 」は豊の秋の中でも比較的新しい日本酒。米の旨味が穏やかに柔らかく広がる、食中にお勧めの純米大吟醸。
すっきりとした飲み口は甘さが残らず、次に口にする料理の味を引き立ててくれます。
冷酒~ぬる燗まで楽しめるのでそのまま外に持ち出して飲むにもおすすめ♪
全国燗酒コンテストで金賞を受賞したほか2017年からフランスの地で行う「 Kura Master 2022 日本酒コンクール 純米大吟醸部門 」でプラチナ賞を受賞しました。
鼕のマークと豊の秋ではお馴染みの雀が目を引きます。
出雲地方独特の酒、特別な料理酒「 出雲 地伝酒 」
料理と楽しむ日本酒のほかに、料理を作るのも好きな方にぜひおすすめしたいのが、「地伝酒」という島根県出雲地方で古くから使われてきたお酒。
昭和18年頃までは造られていたものの戦時の統制経済で製造が中止されていましたが、地伝酒を使った「のやきかまぼこ」が懐かしい、もう一度作りたいという人たちの想いと地域の振興を担う方たちの努力で50年の時を経て復活しました。
平成元年に復活の話が持ち上がった当時でも造り方や味を知る人が少なくなっていたそうで、昔の醸造方法を紐解きながら復活した「 地伝酒 」は、酒米ではなく、もち米をふんだんに使用し、米麹は日本酒の2倍、仕込み水は日本酒の約半分で造られています。日本酒好きにはその濃厚さが想像できるはず。
赤みがあり、お醤油も思わせるような地伝酒は、製造にかかる時間約3か月。じっくりじっくり寝かせて完全発酵させ、秘伝の木灰を加えて絞ります。 糖とアミノ酸が結合し中和することにより赤みを帯びるそうです。
甘味は味醂の約半分、旨味は日本酒の3倍から5倍にもなるとのことで、色んな料理との組み合わせに使え、料理の味を引き立たせるだけではなく、弱アルカリ性の成分が魚の生臭さを消す働きもあり、ウナギなどの泥臭さまで解消してしまうというので驚きました。
お赤飯やどら焼き、近年注目を集めるジビエの臭み消しにも使われています。
最近では海外からも問い合わせがあるそうで、どんな料理やスイーツに使われるのか気になりますね。
米田社長にお話をうかがい、地伝酒の魅力にのめり込んでしまいましたが、
復活したのもすごいけど…そもそも誰が作ったんだろう…と先人の知恵と食に対する豊かな発想力と技術に感心するのでした。
おまけ
米田酒造からほど近い松江新大橋は朝日と夕日が楽しめ、JR松江駅方面へ歩いて渡るのにも便利で歩きやすい大きさ。朝焼けや夜の明かりを映す大橋川の景色も美しいので、ぜひご覧になって下さい。
- 住所
- 住所
- 〒690-0842 島根県松江市東本町3丁目59
- 営業時間
- 営業時間
- 9:00~17:30
- 電話番号
- 電話番号
- 0852-22-3232
- 公式サイト
- 公式サイト
- https://www.toyonoaki.com
- 駐車場
- 駐車場
- 店舗なし(お向かいにコインパーキングあり)酒蔵5台程度あり