山陰まんなか観光局

ココビトの綴り 山陰まんなかアンバサダーが綴る 届けたいココへの思い San`in Mannaka Tourism Bureau presents [COCOBITO no TSUDURI]
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民藝の窯元「出西窯」と「出西くらしのvillage」

現代社会のお買い物は、実店舗やネット販売などで数多くのお店とモノの中から選ぶのが当たり前ですよね。それは、選択肢が沢山あるということなので必ずしも悪いことではありませんが、それ故に本当に自分に合う物にはなかなか出会えません。
私も欲しいものがある際は、まずSNSや動画検索によって情報を入手するということが多々あります。
しかしながらそれは、あくまでもある程度の目星を付けての購入となり、本当に選んだものが正解だったのかはわかりません。とりわけ食事で使う茶碗や皿といった器は、毎日触れるものなので「これ!」という物を使いたいものです。

今回は、そんな自分にぴったりの逸品が見つかるかもしれない、島根県出雲市斐川町の「出西窯(しゅっさいがま)」と、出西窯を含む複数のショップが併設されている「出西くらしのvillage」をご紹介いたします。

出西窯について

出西窯は、昭和22年(1947年)に地元の青年ら5人が創業しました。
戦後まもなく国全体が虚脱状態だった当時、彼らは農家出身のいわゆる“跡取りではない”次男や三男という立場だったので、所有できる農地も無く自分たちの未来を思い描くことができない状態でした。
それでも小中学校の同窓でもあった彼らは、農家出身であるが故の土への愛着とともに何か産業ができないかと模索を続け、地元で採れる粘土を活用した焼き物作りにたどり着きます。
強い熱意を原動力に、知識や技術を身に着けながら並行して窯を建設し、昭和23年(1948年)についに火を入れることを叶えます。

しかし、技術的な研鑽を積む一方で社会は急速に近代化し、時代の流れは大量に、しかも廉価で生産できる機械化へと進みます。
彼らは必然的に、手仕事による工芸、ひいては自分たちの存在意義を明確に見出すことが必要となりました。
苦悩を重ねている中、彼らは柳宗悦が起こした「民藝運動」と出会い、転機が訪れます。
河井寛次郎や浜田庄司といった運動メンバーの指導を受け、以降は「職人の手仕事による堅牢で実用的な“用の美”が息づく器作り」を信念とする、正に民藝運動の精神を胸にした器作りを続けました。

出西窯では、従事者が変わった現代においてもその志は引き継がれ、変化する時代に即した器作りが行われています。

出西窯の工房。見学することもできる。
煉瓦で組まれた登り窯は、とても歴史を感じる。
器に塗られる釉薬(特別な取材許可を受けて撮影)。

展示販売館「くらしの陶・無自性館」

「出西くらしのvillage」には出西焼きの展示販売所があり、実際に手に取って品物を確かめながら購入することができます。
広々とした店内は吹き抜けの二階建てとなっており、出西焼きだけではなく地域の工芸品や土産品も販売しています。
大小様々な器がびっしりと並んでいますが、豊富な品数は暮らしに即した器を作り続けてきた証です。
民藝の考え方のうち“昔ながらの手仕事”は重要な事項ですが、それは決してノスタルジーに浸るものではなく、むしろ変化する食文化にマッチするように“手仕事によって創る最新”を追いかけているということなんです。

店内には皿、コーヒーカップ、湯飲み、お酒を飲むときのおちょこや徳利、そしてなんと猫ちゃん用の器もラインナップされています。
また、同じ大きさの器でも釉薬の乗り方や焼き上がり具合によって、風合いがそれぞれ異なっているため、自分だけのお気に入りを探すことができます。

無自性館では、出西焼きや土産品等を展示販売している。
色とりどりの器。出西焼きは青い器の印象だが、実は比較的新しい物とのこと。
器はよーく見るべし。同じ器でも色の濃淡の出方が違う。
コーヒーカップは、お昼過ぎの優雅なコーヒータイムにぴったり。
猫用の器。猫が物を食べやすい首の高さを考えた設計となっている。

Le CochonD’or Shussai ( ル コションドール 出西)

ル コションドールは無自性館と同じく「出西くらしのvillage」の一角にあるベーカリーカフェで、地域の食材を使用したパンの販売と、店内で食事ができるカフェとなっています。

私がぜひ試して欲しいと思っているのはカフェの方で、料理が出西焼きに盛り付けられて出てくるんです!
BLTサンドを注文したところ、出西焼きの特徴の一つである出西ブルーと呼ばれる深い青色の器に乗せられて出てきました。

あとで出西窯の方にお話を聞いたところ、出西焼きを実際の食卓でどのように使うかという提案の意味も含めてカフェを開いたのだそうです。
物に溢れる昨今は、一見すると何でも選び放題であると錯覚しますが、逆に使い手が何を選んだら良いのか迷ってしまうという側面もあるとのこと。
そうした状況下、作り手が一歩前に出て使い手に提案することによって、満足のいく物選びができるようなサポートを試みているとのことです。

お店外観、向かって左側がカフェ、右側がパン売り場となっている。
青い器に映えるBLTサンド、めちゃくちゃ美味い。
パンコーナー。昼を過ぎると売り切れ続出となるのでお早めに!

Bshop 出西店

「出西くらしのvillage」の一角にあるBshopは神戸発のセレクトショップで、「“最高のふつう”を日常の中に」というメッセージを込めて、暮らしの中で寄り添い続ける服と日用品を取り扱っています。
民藝の思想にも似たコンセプトのショップとなっており、シンプルでありながら機能的でとてもつくりの良いアイテムが揃っています。

お店の外観。無自性館とは道路を挟んで向かい側にある。

心地よいくらしの道標

今回は民藝の窯元出西窯と、器にカフェにパンにアパレルにと、見どころ盛りだくさんである「出西くらしのvillage」をご紹介いたしました。
使いやすい器や服などの日用品は何気なく過ぎる日常の満足感を高め、カフェでは豊富な種類のパンの購入や出西焼きに盛り付けられた美味しい食事を楽しむことができます。

都市部やデパートへのお出かけも楽しいですが、自然の中でのんびりと滞在できるおすすめスポットで、お買い物をしながらほっと息をつける心豊かな時間を楽しんでみてはいかがでしょうか?

この看板が目印です。
出西窯 、くらしの陶・無自性館
住所
島根県出雲市斐川町出西3368
営業時間
9:00〜18:00
定休日
火曜日
電話番号
0853-72-0239
公式サイト
https://www.shussai.jp/
駐車場
あり
※データ・写真など上記情報は記事作成時点のものです。
※臨時休業や営業時間の変更の可能性がありますので、お出かけの際は、最新情報はお店の公式HPや公式SNS、直接店舗にお電話ご確認ください。
※新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、施設へお出かけの際は、鳥取県・島根県や各自治体が発表する最新情報、要請などをご確認のうえ、手洗いやマスクの着用、人と人との距離の確保など基本的な感染防止対策(新しい旅のエチケット)を徹底していただくようお願いします。
Le CochonD’or Shussai
住所
島根県出雲市斐川町出西3368
営業時間
9:30〜17:00
定休日
火曜日、第2・第4水曜日
電話番号
0853-27-9123
公式サイト
https://www.shussai-village.jp/lecochondor
駐車場
あり
※データ・写真など上記情報は記事作成時点のものです。
※臨時休業や営業時間の変更の可能性がありますので、お出かけの際は、最新情報はお店の公式HPや公式SNS、直接店舗にお電話ご確認ください。
※新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、施設へお出かけの際は、鳥取県・島根県や各自治体が発表する最新情報、要請などをご確認のうえ、手洗いやマスクの着用、人と人との距離の確保など基本的な感染防止対策(新しい旅のエチケット)を徹底していただくようお願いします。
Bshop 出西店
住所
島根県出雲市斐川町出西 字高林 1358-3
営業時間
10:00〜18:00
定休日
火曜日
電話番号
0853-25-7332
公式サイト
https://www.shussai-village.jp/bshop/
駐車場
あり
※データ・写真など上記情報は記事作成時点のものです。
※臨時休業や営業時間の変更の可能性がありますので、お出かけの際は、最新情報はお店の公式HPや公式SNS、直接店舗にお電話ご確認ください。
※新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、施設へお出かけの際は、鳥取県・島根県や各自治体が発表する最新情報、要請などをご確認のうえ、手洗いやマスクの着用、人と人との距離の確保など基本的な感染防止対策(新しい旅のエチケット)を徹底していただくようお願いします。
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y.takayuki0607
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伝統的な文化、歴史的建造物、星空や夜景撮影が好きで夜を中心に活動しております。 山陰の魅力を写真とキャプションで発信していこうと思います。 よろしくお願いいたします。
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