静かな森で巨大神木に出会う「志多備神社」
スダジイってご存じですか? 須田さんちのおじいさんのことではございません。
出雲大社や八重垣神社、熊野大社など有名な神社の多い島根県の出雲地方ですが、まだまだ魅力的な神社がたくさんあるんです。
その中でも今回は、シイの木の一種であり樹齢数百年の巨大なスダジイの木が境内にある、島根県松江市の「志多備神社(しだびじんじゃ)」をご紹介いたします。
創建時期不明のスダジイの森の神社
志多備神社は松江市八雲町の田園地帯の森の中にあります。戦国時代の兵火にさらされ、書物等現存する資料は少なく創建時期は不明ですが、今から約1,300年ほど前に出版された出雲地方の郷土誌『出雲国風土記-いずものくにふどき-』によれば“志多備社(しだびのやしろ)”として記載されており、遥か昔から存在していることがわかります。
また、周辺を大きなスダジイの木が群生する神秘的雰囲気を持つ森に囲まれ、ひっそりと静かに、そして厳かに鎮座しています。
天地開闢の二神を祀る
志多備神社は神々の父と母であるイザナギノミコトとイザナミノミコトを御祭神としています。
境内には本殿の他に四つの御社が建っており、聖(ひじり)神社、大元神社、杉森神社、稲荷神社とされていますが、どれがどの社殿かは正確には判明していないとのことです。
拝殿へお参りをしてから境内をぐるりと歩いてみると、本殿は出雲地方の神社に見られる代表的な建築構造の大社造りで建てられており、思っていたよりずっと立派な社殿でした。
また、本殿の左手に配置された三つの御社は、小さいながらもその背後にうねりながら立っているスダジイの迫力も合わさって、とても見応えがありました。
地域の総荒神を祀る御神木
本殿右手を進んでいくと、遠目で見ても普通じゃないとわかる巨大樹が見えてきます。
近づいてみると、その全容はとてもじゃないが視界におさめきることは出来ず、思わず大きくのけぞり、後ずさりしてしまうほどです。
高さは約20m、幹周り11m以上、大迫力の枝張りは東西に20m、南北に33mまで広がっており、日本一のスダジイと言われています。
この樹齢数百年を超えるスダジイは、この地域の総荒神として祀られており、毎年11月9日には地域の人々よって作られる、大きな藁の蛇を用いた総荒神祭が行われています。
島根県と松江市が指定する天然記念物
志多備神社のスダジイは島根県及び松江市が天然記念物に指定しています。
スダジイは日本固有の植物で、比較的温暖な地域に分布しているそうで、四国や九州に多く見られるとのことですが、このように群生して森を形成しているケースは珍しく、生態系の資料としても貴重なんだとか。
幹や枝は建築材料や椎茸の原木として使われたり、実(み)はいわゆるドングリで、炒るなどの加熱調理をした上で食べることが出来ます。
花は栗の花に似た形状をしており、においもまた栗に似たクセのある香りとのことです。
先ず圧倒され、次に安心感を得る
いかがでしたでしょうか? 今回は大きなスダジイが魅力の志多備神社をご紹介いたしました。残存資料がほとんど無く不明点の多い神社ですが、境内や社殿はとても雰囲気があり、神社より後に育ち日本一と言われるまでに大きくなったスダジイの巨木が、志多備神社に存在意義を与え、誰にも忘れられることの無いように、共にあり続けているような、そんな気がしました。
日本一の巨木に圧倒されながも、地域を見守ってくれているような安心感に満ちたパワースポットにぜひ行ってみてください。
- 住所
- 住所
- 島根県松江市八雲町西岩坂1589
- 駐車場
- 駐車場
- なし、桑並ポケットパークの駐車場を利用可
- 住所
- 住所
- 島根県松江市松江市西岩坂1597−4
- 駐車場
- 駐車場
- あり(10台程度)